Under the 3DL Microscope
3DLのサンプルを電子顕微鏡を使用し、3DLのラミネーションの状態が、フラットな状態で作られる3DLに似たセールのサンプルとどのように違うのかを検証してみました。
電子顕微鏡で見た3DLのラミネート断面。1気圧のバキュームにより、マイラーフィルムとヤーンが隙間なくしっかりと接着しています。© North Sails Japan 3DLに似たセールの多くはフィルムをラミネートする際、バキュームされていないため、ラミネートの間に隙間が生じていました。一方3DLセールはファイバーとファイバーの間もしっかりと接着剤がいきわたって、隙間がありません。接着剤がいきわたっていなかったり、バキュームの圧力が足りずに空気が残っていたり、ファイバーがあるべきところになかったりと、3DLに似たセールには隙間が多く入っています。。。これらは接着が劣っており、ファイバーとフィルム同士が強固に接着されておらず、ファイバーとフィルムが連続していない証拠です。
3DLラミネートのクローズアップでは、ラミネートフィルムがヤーンと隙間なくしっかりと接着しているのがわかります。© North Sails Japan ノースセールの3DLはフィルムとフィルムそしてファイバーを接着するのに、バキュームを利用して圧着していますが、3DLに似たセールはフィルムとフィルムをローラーによる片面からの圧着だけで接着しています。
3DLセールは1気圧(1フィートスクエアあたり1800ポンド)の圧力でバキュームされています。3DLに似たセールはフラットなフィルムとファイバーが、バキューム無しでローラーにより圧着されるのみです。
3DLセールはバキュームによる高圧力での圧着の他にヒーティングデバイスを使用し、熱による硬化とともに、個々のファイバーとフィルムを隙間なく、まるで収縮包装されたようにしっかりと接着します。層になっていた上と下のフィルムは内部にかけられたバキュームによって、フィルムとフィルムが吸い付けられ、さらにファイバーを強固にそのフィルムの間に挟み込み、一枚のフィルムとファイバーが一体となったものになります。
もし、他の3DLに似たセールのように、ラミネートを外部からの力を利用しただけでは、いくらローラーによる圧力を高めようとも、ファイバーとフィルムの間には隙間が生じます。
© North Sails Japan パネルセールに使用する、普通のラミネートセールクロスは上下のローラーによって挟み込んでフィルム同士を圧着していて、問題はありません。ではなぜ、3DLに似たセールはローラーによって圧着されているのに効果がないのでしょうか?普通のラミネートセールクロスのファイバーの配置は対称性があります。しかもファイバーの束、つまりヤーンは一定で構成されています。さらに直線状に配置されており、同じ配列がクロスの長手方向に続いています。
3DLと3DLに似たセールも、ロードが大きいところには、ファイバーを多く配し、ロードがそれほどかからないところにはファイバーをあまり配していません。このようにしてファイバーを効率的に使用しています。高負荷が予想される場所にはファイバーが多く集中してしまうのでセールクロスの厚みは一定にはなりません。さらに、ファイバーを束ねたヤーンは荷重方向に合わせて敷設されるので、一定方向に配置される普通のラミネートセールクロスと違って、あらゆる方向に配置されています。ファイバーの上にファイバーが交差することも多く、ローラーのみの圧力ではファイバーとフィルムの間に隙間ができてしまいます。このような理由から3DLはバキュームによる収縮を採用して隙間のない、一体型のセールを製造しているのです。
さらに3DLに似たセールのファイバーはレジン(樹脂)が含浸しており、自由に変形するセールの阻害となっていることを確認しました。ファイバーが硬くなり繊維が折れてしまう恐れがあります。セールの寿命を伸ばすには、ファイバーにレジンを含浸させるのではなくファイバーにレジンをコートするほうがよいでしょう。
ボートビルダーは、ハルやデッキを積層する際に、ガラス繊維、カーボン繊維やアラミド繊維にレジン(樹脂)を含浸させ、より硬い複合材を作るのです。
複合材で飛行機の翼や船体を作る際にはファイバーにレジンを含浸させる必要はありますが、フレキシブルな素材であるセールといった複合材を作るにはファイバーにレジンをコーティングするほうがより効果的です。レジンコーティングをヤーン(繊維の束)の外側に施して3DLフィルムと接着させ、ヤーンの内部の繊維はいくらか自由に動けることで繊維が破損することなくフレキシビリティーを持たせることができます。