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SAIL CLOTH
最近のセールクロスのほとんど全ては工業繊維として誕生しました。セーラーにセールクロスのブランド名が知れ渡っている一方、そのセールクロスの持つ基本特性はあまり知られていません。しかしこれらのセールクロスの特性を理解することは、セールをチョイスする際に重要な要素となります。ここでは代表的なクロスの特性の紹介とセールクロスを理解する上で必要な用語の解説をしてみます。
ポリエステル
スピネーカー用0.5ozポリエステルクロス
ポリエステルファイバーは、代表的なところでデュポン社のダクロン、帝人(株)のテトロンと呼ばれる商品名でよく知られています。通常マイラーと呼ばれているラミネートクロスをはじめ昔ながらのウーブンクロス(織物)は、現在でも幅広く使われています。 ウーブンクロスは独特のリップストップ構造と呼ばれる構造によって、引き裂きに強くし、クロスに方向性を持たせ、さらに軽量化を試みたクロスです。このウーブンクロスの性質を決定付けるのが、樹脂による仕上げ処理で、各クロスメーカーの特徴があらわれます。 ポリエステルは、曲げ試験による強度、紫外線による抗力が比較的安定したファイバーです。 最近では高強度のポリエステルも開発され(ペンテックスやペンフィルムなど)、従来のポリエステルの2.5倍の弾性率があります。ポリエステルクロスですからクルーザーのクラスルールに抵触することなく、すでに J24やMelges24クラスといったワンデザインクラスでも採用されています。伸びによる形状変化と吸湿が少ないという利点を活かし、スピネーカー用の素材として使用されています。しかし水にぬれた時、単位重量あたりの伸びが少ない反面、ナイロンのようにショックロードに持ちこたえにくさを持っています。さらに伸びが少ないことがさいわいし、ボートの動きや風の変化でスピンがつぶれやすく、またつぶれた状態から急にはらんだりしてショックがかかる時に破断してしまいやすい欠点があります。ノースセールではセールにかかる力が比較的小さい小型艇のスピネーカーには伸びに対して形状変化が少なく、吸湿性も低い利点を持つポリエステルクロスも、ナイロンクロス同様採用しています。
ダクロン
470クラスに実際使われているダクロン
格子状に補強したリップ・ストップ構造により、引き裂きを強くしクロスに方向性を持たせて、さらに軽量化を図ったポリエステルクロス。470クラスディンギーのメイン、ジブなどに利用されています。
ペンテックス
ケブラー29とポリエステルの中間の強度と弾性率をもった新繊維。値段もケブラーとポリエステルの中間という事もあり、ケブラーほど高価でなく、ダクロンよりもハイパフォーマンスのセールを要する小型のレース艇にぴったりのクロスといえます。
スペクトラ
スペクトラの強度はカーボンやケブラーを超え、比重も軽く、曲げ特性、吸湿性、耐紫外線の面で非常に優れている反面、寸法の安定性(クリープ)に限界があると思われていますが、細い糸を形成でき、紫外線による劣化が少なく、特筆すべきことは曲げの強さは他のファイバーを圧倒していることです。そのため軽量化や速さよりも耐久性を重視するクルージング用の帆によく使われています。
ベクトラン
ベクトランはヘラキスト・セラニーズ社が中心になって開発したファイバーの商標名です。ケブラーと同じ引っ張り強度を持ち、曲げ疲労に大変強い性質を持っています。しかしケブラーより紫外線による劣化が大きいといわれ、今のところ単体ではセールクロスにはなっていません。現在はフィル方向の繊維として部分的に使われています。
アラミド(ケブラー)
E22 強度の強い細いケブラーを使用し、そのケブラーに高度な技術を用いて十分なテンションを加え、独特の構造でクロスの強度を増している。軽量で超低伸度。インショア・レーサーのセールに用いられている。
E14T 薄いポリエステルの織物(タフタ)を片面にラミネートし、セールのシバーによる曲げの劣化を防ぎ、耐久性を持たせている。安定した性能を持つ、スタンダードなクロス。
アラミドファイバー(デュポン社の商標名“ケブラー”が代表的)の利点は、一般的には耐熱性と耐衝撃性、および(複合材料としたとき)振動減衰性と言われています。セールとして必要不可欠な繊維のしなやかさ、曲げに対する強さ(曲げ特性)にある程度優れている点から、セールの材料として、現在では一般的なものになっています。ケブラーの強度はポリエステルの約5倍。軽量でなおかつ広い風域でも理想のセール形状を維持することができるため、ヨットのパフォーマンスを十二分に引き出せます。欠点はポリエステルと比較し、曲げ疲労に弱くしかも堅い点。クロスとしてはK29やK49が一般的で、K49は単位あたりの強度がK29より30%アップしています。 セールの材料としては、伸びを抑える部分にはK49、弾性率がそれほど必要されない部分には、しなやかさや吸湿性に勝るK29相当のものを採用しています。
カーボン
# 引っ張り強度がケブラーの3-4倍 # 紫外線に対する強度が群を抜いている。曲げ強度が弱い問題点がありますが最近グランプリレーサーは殆どカーボンセールを使っています。勿論、耐久性は落ちますが大型艇では必要不可欠の素材になってます。 2000年のアメリカズカップからカーボン3DLセールが主流となりました。しかし強度がケブラーの3-4倍ありますのでシームでカーボン繊維を切ってしまうパネルセールにはカーボンの良さは出てきません、それどころか大きなロードが掛かる大型艇の場合、繊維が強すぎてシームから破けてしまう原因になってしまいますのでロードラインに沿って途中で切られているパネルセールにはお勧めできません。3DLの技術だけがカーボン繊維の良さを発揮できます。
テトロン
テイジンの商標で、ポリエステル繊維から作られたセールクロスです。強度性、耐薬品性、耐候性、耐熱性などに優れています。ダクロンと特性はほぼ一緒の国産クロスの名称。
テクノーラ
黒い繊維がブラックテクノーラです
テイジンが開発したアラミド繊維です、テクノーラはケブラー29に比べるとほぼ同じか、すこし低い弾性率で,耐紫外線は劣りますが曲げ特性が少しいい繊維です。テイジンとディメンションポリラントが共同開発したテクノーラブラックはラミネートクロスのバイアス方向を補強する繊維で使用されています。
ナイロン
スピネーカー用0.5ozナイロンクロス
ナイロンは素材の持つ軽さと強さからスピネーカーやジェネカーに使われています。ナイロンクロスは水にぬれた時、ポリエステルと比べ、吸湿性があり、また物性的には強度に優れてはいるものの、伸びが大きいため寸法が狂い、重くなります。しかしナイロンクロスで作られたスピネーカーはボートの動きや風の変化に対してもトリムしやすくつぶれにくく、急に風をはらんだ状態で、ショックロードを受けても持ちこたえることができます。ポリエステルに見られるような欠点が少ないので、クルーザーのスピネーカー素材として一般的に使用されています。
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破断強度
ある一定の重量のファイバーを破断するのに要する荷重。曲げや、紫外線などの影響が破断強度にどう影響するかを測るための一つの指標です。 破断したときの荷重をデニアーで割ったものをg/dで表しています。 一般的には破断荷重を断面積で除した、応力(単位はGPaやkg/mm^2など)で表現することが多い。
デニアー
9000mの糸の重さをグラム表示であらわしたもの。デニアー数が高ければ、重いファイバーという意味合いになる。 また同じ比重の材質同士であれば糸の太さを比較することにもなる。Dやdとも表記される。
カウント
単位幅(1インチ)あたりに入っている糸の本数。1本あたりの糸のデニアー数にカウント数を掛けると、単位幅に入っている糸の総デニアー数になる。
曲げ強度
曲げの折り返しを繰り返した後、クロスの強度がどれだけ保持されているかといった耐久性の指標です。クロスを180度折り返すことを50回繰り返し、強度がどれだけ落ちるかといった数値で推し量ります。
弾性率
素材のもつ本来の繊維の伸びにくさを表します。一定量のファイバーの決められた伸びに対して、どれだけの荷重を要したかをグラムで表したもの。弾性率が高いということは、ファイバーが伸びにくいことを意味しています。 ある荷重をかけたときの引っ張り荷重をその時の伸び(元の長さに対する変形量)で割ったもの。単位はGPaやkg/mm^2などで表します。
比強度
比弾性率 強度、弾性率を比重で割ったもの。重さの割に強いかどうかを示す。セールの軽量化には、結局比強度や非弾性率の高さがものをいいます。耐紫外線強度紫外線がクロスの強度にどれだけ影響するかを表す。破断強度の半分になるまで浴びた紫外線の時間で表す
クリープ
セールクロスのようなプラスチック化合物はロードをかけ続けると時間とともに 伸びが徐々に大きくなるという現象があります。そしてロードを取り去ってもある程度の永久変形が残ってしまう場合が多い。この伸びが徐々に大きくなる現象をクリープといいます。
フィル
セールクロスのロールの幅方向と平行に織られている糸
ワープ
セールクロスのロールの長手方向と平行に織られている糸
ワープオリエンティッド
ワープの方向に最も強く、真っ直ぐなファイバーを織り込んでいること ・フィルオリエンティッド フィルの方向に最も強く、真っ直ぐなファイバーを織り込んでいること ・バイアス 縦糸と横糸の中間の、斜め45度方向にロードがかると、クロスはいとも簡単に伸びてしまいます。この斜めの方向をバイアスと呼びます。
樹脂加工(コーティング)
バイアス方向の抵抗力を持たせることと、クロスの表面を保護し滑らかにするためにプラスティックの樹脂加工(コーティング)を行います。樹脂が生地に浸透することで織りが固められずれないようにします。ポリエステル、ナイロンのクロスには一般的にポリウレタン樹脂によるコーティングが施されています。
ウーブンクロス(織物)
縦糸と横糸を織り合わせたクロスを織物といいます。 一般的には470などのワンデザインディンギーやクルーザーヨットに使われるダクロンやテトロン、スピネーカークロスとして使われる、ナイロンクロスやポリエステルクロスがあります。 縦糸と横糸にはケブラーであれPBOであれ織ることが可能であれば、どんな繊維でも使用することができます。糸のデニアー数とカウントを調整することによりワープ方向に強いクロス(ワープオリエンティッド)とするか、フィル方向に強いクロス(フィルオリエンティッド)とするかを設定できます。 織物では縦糸と横糸が交互に織り合わされるため、その交点では、繊維が凸凹になり直線性を保つことが難しいため、ロードがかかった場合、繊維はストレートになろうとするめ、それがクロスの初期伸びとして表れてきてしまいます。 ウーブンクロスの品質は糸の材質だけでなく、織りとコーティングによるところが大きいようです。製法上、素材の持つ弾性率を充分に発揮することは難しく、単純なクロスカットのディンギーではパネルを細かくレイアウトされてない分クロスの縦横斜めの強さのバランスが重要になります。
ラミネート・クロス
ラミネートクロスは、ケブラーなどの高弾性、高強度繊維を、織るのではなく、ストレートな糸の束としたものをフィルムでサンドイッチするという構造で進歩してきました。フィルムは同じ材質、同じ重さのクロスと比べ、伸びは半分以下で、方向性を持ちません。ごく薄いフィルムでもクロスのバイアスの伸びを抑えるのに効果的です。 ラミネートクロスの進歩により、初期伸びに悩まされるウーブンクロス(織物)より、繊維の持つ物性をそのままセールクロスの特性として活かすことができました。 ラミネート技術のポイントは接着性にあります。接着剤の使用量が少なければ、剥離や接着の寿命の心配がありますが、軽くしなやかな扱いやすいクロスができます。 クロスの特性としては、フィルム間にサンドイッチする繊維のストレート性が問題となります。現実には一方向だけに糸を配置するわけではないので、ある方向に走っている繊維の上に、また別な角度をつけて繊維を敷いていくので、繊維と繊維の交点でどうしても凸凹ができてしまい、完全なストレート製は望めません。このため、繊維はなるべく細いものを使い、広い面に渡って薄く敷いていくことが有利といえます。 通常、ワープ方向に主となる強い繊維を入れますが、ワープに対して6度程度の浅い角度でテクノーラを入れたもの、45度や60度に入れてバイアスに対する抵抗力をダイレクトに持たせたもの、より細かいポリエステルの格子状の縦糸・横糸を入れてフィルムに対するリップストップ効果を持たせるなど、きめ細かい材料の使い分け等、様々な工夫がなされています。
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