• セールメンテナンス


    セールのメンテナンスを正しく行うには時間がかかりますが、後々セールの寿命やパフォーマンスに大きな影響を与えるでしょう。購入してから数年経ったケブラー製のレーシングセールであろうとダクロン製のクルージングセールであろうと、少しのメンテナンスで安全にセールを使うことができます。

    シバーを避ける

    セールのシェイプが崩れたり、破れたりする最大の原因は、シバーによるものです。タッキングのような、止むを得ない場合以外は、なるべく、シバーさせないようにしてシバーする時間をなるべく少なくしてください。機走やスタート時間待ちの時には、セールを降ろすことを心掛けましよう。シバーやリーチをばたつかせるとクロスを痛め、その性能が落ちます。ケブラー/マイラーのセイルでは、特に注意してください。

    セールの寿命を長持ちさせるには幾つかの方法があります。メインセールをホイストする際にフルスロットルで風上に向けないこと。メインでパワーアップしている状況ではフラップしないようにトリムし続けること。強風ではメインがばたつきすぎないようパワーダウンさせること。リーチがばたつかないようメインとジェノアのリーチをタイトにしましょう。

    使用風域の厳守

    セールは全てその使用範囲の風速に合わせて作られています。想定された風速以上で使うとクロスは伸びてしまい、もとに戻らなくなってシェイプが崩れる原因になります。ケプラー/マイラーのセールでは、特に目に見えて影響が大きいので、当社が指定した風速以上では使用しないで下さい。 ※ケブラー/マイラーのゼノアの場合は、この風速の範囲が記入されています。

    割りピン・スタンション・ライフライン等

    セールクロスは、摩擦のおおきいもの、先の尖ったものなどに、非常に敏感です。割りピンの先端、ねじの頭、ハリヤードのフック、ターンバックルの角、スプレッダーの先端、スタンションの上部、ワイヤーのほつれ等、セールが触れるところは、注意深くチェックをし、前もってその部分にテーピングあるいはレザーカバーなどを施してセールを守ってください。軽風でライトジェノアやジブを使用する際は、マストより前はタックの度にヘッドセールが行き来するのでひっかかるものがないかどうか念入りに注意してチェックしてください。


    紫外線を避ける

    直射日光もセールをいためる、セールの大敵です。セールを使用しないときは紫外線を受けないようにしましょう。例えばローラーファーリングのヘッドセールは、使用しないとき巻いている状態では、リーチとフットにUVカバーを付けることを強くお薦めします。メインセールをブームの上に畳んでいる方もカバーを常に付けて紫外線からセールを守りましょう。

    セールを乾いたところに保管する

    セールを使わないときは、塩抜きし、セールバッグに折畳んだ状態で乾いたところに保管するのが理想です。セールを折畳むときは織りじわができにくいよう、毎回違う位置で折り返すようにしましょう。ワンデザインディンギーセールはセールを巻いてロール状にし、ソーセージバッグに保管すると長持ちするでしょう。スピネーカーはゆるめにセールバッグの中にしまってください。スピネーカーを濡れたまま、長期間保管すると、濃い色のスピンの染料が薄い色のスピンクロスに色移りする可能性があります。またカビが生えることもありますので注意してください。

    クロスごとの保管方法など

    以前のセールクロスに比べ、最新のセールクロスはセールシェープが崩れにくく長持ちするようになっていますが、できるだけ長くセールシェープを保ち、パフォーマンスを発揮するには、ちょっとした注意が必要になってきます。

    マイラー

    ポリエステルやアラミド繊維をマイラーフィルムでラミネートしたマイラーセールクロスは、単位重量あたりの強度が高い特徴ですが、破れやすくもありますので、下記に述べるように注意を払って取り扱ってください。
    • 使用適合風域を超えないこと
    • スプレッダーパッチをつけないで使用しないこと
    • 必要ないばたつきは避けること
    • マイラーセールのラフにテンションをかけすぎないこと。正しいドラフトを再現するには適切なラフテンションが必要です。ラフから横に出ているしわをとるにはハリヤードあるいは、カニンガムでテンションを入れれば充分です。テンションをかけ過ぎないように、ハリヤードにマークを付けておきましょう。
    • マイラーセールを扱う上で前もって注意しておきたいことは、ディーゼルやクリーニング剤などの溶剤をかけないこと。これらの溶剤はグルーを溶かして、マイラーが剥離する原因になります。またマイラーフィルムは熱に弱いので、エンジンなどに当たらないようにしておきましょう。

    ケブラー®

    ケブラーは単位重量あたりの伸びが非常に小さく、ダクロンやマイラーほど伸びない特徴があります。高いロードのかかるレーシングセールに使用されるのはこのためです。ただし、ケブラーセールクロスは正しく取り扱わないと、簡単にダメにしてしまうこともあります。ケブラーセールを長持ちさせるコツはセールをシバーさせることを避け、リーチのバタツキを避けることです。

    ダクロン

    ダクロンセールはディンギーのセールの他、クルージングセールにも使われる、用途の広いセールクロスです。耐久性は高いセールクロスですが、上で述べたように事前の注意によって寿命を伸ばすことができます。

    ナイロン

    スピネーカーとジェネカーの多くはナイロンからできています。ナイロンは軽量な上に丈夫です。ただし、引き裂きに弱いので扱いに注意してください。小さな穴や破れが見つかったら、一時的に破れた箇所の上にテープを張るなどして、穴や破れが広がらないようにしましょう。できればなるべく早くセールメーカーに修理してもらいましょう。

    SPECIFIC SAIL NEEDS

    セールがどのようなセールクロスから作られていようと、それぞれのセールには扱い方によってセールの寿命を伸ばせます。

    ヘッドセール

    最も起きやすいセールのダメージはライトや#1を適合風域以上で使用した時におきやすくなっています。予期できないような風を受けそうになったら、シートをゆるめ、セールにかかる力を逃がしてダメージを避けてください。風速があがって、吹き続きそうであれば、風域に適合するセールへとチェンジしてください。その他よくあるセールへのダメージとして、オーバーラップジェノアなどはセールを返す際タイミングが悪いと、スプレッダーの先端がセールを押して破れることがあります。ヘッドセールが納品されたら最初にまずスプレッダーパッチ、スタンションパッチを適切な位置に貼り付けてください。(データのある場合はセールメーカーが貼り付けて出荷している場合もあります。またマストレーキを変えると、パッチの必要な位置が変わりますのでご注意ください。)同時に、スプレッダーの先端やスタンションの上端はテープなどで保護しておいてください。このようにセールにダメージを受けないように準備をしておいても、セールを返す際に、スプレッダー先端に強く押されることもあるのでセーリング中はしっかり注意してください。

    ダメージを回避するための方法:
    • ジブのテーラーはタックでジブシートが完全にキャストオフできるように注意しましょう。
    • スプレッダーの先端にローラーやパッドなど少しでも突起しているものを使わないようにしましょう。セールへのダメージのもととなります。
    • 定期的にスプレッダーにあたる箇所のパネルの縫い合わせ部分の縫い糸がほつれていないかチェックしましょう。
    • リーチコントロールラインを所定の位置で留めておきましょう。
    • グルーブ付きのヘッドステー(タフラフなど)を使う場合はラフテープを切らないようにプレフィーダーを使用しましょう。
    • ハリヤードが完全に上げられるまでは、シートをフルトリムしないようにしましょう。

    メインセール

    メインセールは軽風から強風まで、すべてのコンディションで使用されます。セールをできるだけ永く、その性能を活かして使用するには、取扱いに充分注意してください。ケブラー製のメインセールは、前にも述べていますようにシバーを避けてください。セールがシバー、またリーチがばたつかないように常にメインシートを充分入れておきましょう。

    その他のアイディア:
    • リーチコードを調整してリーチのバタツキを抑えましょう。
    • ラミネートクロスを使用したセールではカニンガムを必要以上にきつく引かないようにしましょう。
    • バテンが正しくセットされているか確認しましょう。
    • リーフをする時にセール帯を使用する際には、セールとは別の色のセール帯を使用し、リーフを解除する際に、セール帯を解き忘れることがないようにしましょう。
    • フットを強く引き過ぎないようにリーフラインを通していることを確認してください。
    • ランニングの際にメインを出したときにスプレッダーによるダメージを避けるようスプレッダーパッチを適切な位置に貼り付けましょう。

    スピネーカー

    ナイロンは比較的に伸びやすい素材です。大きな荷重がかかってもセールが破れないように荷重を吸収してくれます。しかしながら、スピネーカークロスはとても軽く、適合風域以上で使用するとバーストしやすくなります。スピネーカーが潰れて失速しているところに、急激に風がはらむとアパレントウィンドスピードがあがり、バーストしやすくなりますので注意してください。スピネーカーが破けたりする、よくある原因は尖ったものなどで穴を開けてしまうことです。スピネーカーセットやテークダウンの際に、尖ったもので傷を付けやすいので、スピネーカーを取り扱うエリアに尖ったものがないように注意深くチェックし、必要であればテーピングなどを施しましょう。ジェノアハリヤードのシャックルに引っ掛かったり、スタンションにとがったものがないようにしましょう。

    ワンデザインセールのケア

    他のセールと同じようにシバーやフラッピングは避けるようにしましょう。といっても、スタートでは仕方がないですが。レースとレースの間はセールがばたつかないように降ろしておくことをお薦めします。数時間でセールをレースコンディションで使用する前にダメにしてしまうことは簡単です。使わないときや保管する際はセールはロールして畳むと良いでしょう。ビジョンウィンドウ付きのセールは車のトランクなど高温の場所に保管しないようにしてください。穏やかな日に、セールを水洗いし塩抜きし、乾燥している場所に保管するのがセールを永く使用するコツです。

    シーズンの終わりに、ノースセールのロフトにお持ちいただければ、修理の必要な箇所などをお調べいたします。セールを大事にお使いいただくようお願いいたします。